2011年01月11日

『クレアモントホテル』



※ストーリーはココで(シネマトゥデイ



DVD出たら絶対買いたい!と思った映画。
イギリスの女性作家・エリザベス・テイラーの原作との事。本も是非買ってみよう。

とても愛し合っていた夫、アーサーに先立たれたパルフリー夫人(ジョーン・プロウライト)と作家志望のハンサムな若者ルード(ルパート・フレンド)の関係をロンドンのこじんまりしたクレアモントホテルを舞台に描いたヒューマン作。

ルードはパルフリー夫人の孫と同じ26歳なのだけれど、時々パルフリー夫人がルードに男性の部分を見たりして一本調子でないのがなんとも。
ころんだパルフリー夫人の擦り傷を消毒してふーと息で乾かすシーンとか。

パルフリー夫人を食事に招待した席で、即興で夫、アーサーとの思い出を引き語りするルードと涙するパルフリー夫人のシーンが良い。

ほぼ後半まで絶妙な間合いとか、脇役達のキャラの雰囲気でコメディっぽい感じで笑ったと思ったら、一転まんまとボロ泣き。

それぞれ孤独な境遇でご臨終禁止、のホテルで家族に似た絆が出来てゆく過程も良かった。


主役のパルフリー夫人。
フランスのある程度年齢を重ねた女性は最後まで「女」である雰囲気を感じるのに対して(ジャンヌ・モローとか)、イギリス人の高齢の女性は女の部分はぐっと薄めな印象ながら私が感じるのは「dignity」。威厳とか品位。

パルフリー夫人の品の良いパール使いや、アクセントにあしらったストール、染みだらけの手に輝くエレガントな指輪。
お洋服はワンピースだったかな?

ラスト近くで病院服を着てベッドに横たわる彼女と、こういう質の良さそうなお洋服やアクセサリーを身につけた元気な彼女を見比べれると残酷なまでに別人。

不謹慎ながら年をとるほど、身だしなみが与える印象の大きさをこのシーンで実感したのでした。


お金がなくても本当の意味で育ちの良さ、芸術的才能を持っているルード。

この人、イタリアっぽい雰囲気もあるなー、なんて思っていました。

パルフリー夫人との出会いで、余りに親切すぎるので私だったらちょっと胡散臭いと感じるかも〜と思ってしまいました。ごめん。
こんな男前な孫がおったら自慢したいよねー。


この映画、最高のユーモアで笑わせときながら、「人生のオトシマエをどうつけるか。」がテーマなのか、と私は理解しましたが。


自分の晩年を想像した時、ベッドに入る度にもしもの覚悟がキチンとできるんだろうか、最後に何を思うんだろうか、なんて考えた映画でした。
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2010年10月29日

『フェアウェル さらば、哀しみのスパイ』



※ストーリーはココ(シネマトゥデイ)


うーーーん、すごかった、これ。

映像も役者もストーリーも。
特に物悲しくも美しい旋律の音楽が良かったなぁ。
祖国と息子への愛情、そしてスパイ活動を通してのフランス人技師・ピエールとの奇妙な友情。

1980年代、ソ連を崩壊に導いた実際のスパイ事件「フェアウェル事件」を映画化との事。
フェアウェルというのはKGBのグリゴリエフ大佐(エミール・クストリッツア)のコードネーム。


グリゴリエフ大佐は国の中心部で働くが故に行き詰った国の内情を知り、国の有り方を憂いて、お金等の為ではなく純粋に次世代の息子達の将来を見据えてスパイ活動をするのですね。
このグリゴリエフ大佐役のエミール・クストリッツアの圧倒的な存在感。
眼光鋭く、いかついワシ系の容貌なのですが、哀愁、詩的で繊細な表現力があって。
ちゃっかり愛人がいたりする所もなんだか人間くさくていい。
その愛人、犬を貰うという口実でそ知らぬ顔でグリゴリエフ大佐の家を訪れ、妻と会うのですが。
不倫相手の家、しかもその家でキスするなんちゅー暴挙に出るのにはびびった。
見てる方がハラハラするっちゅーねん。

farewell.jpg


うん、やっぱりシブイ。色気もあるし。
こんなに圧倒的な存在感の役者さん、誰?と思ったらこの人映画監督なんですね。
私は見た事がないですが「アンダーグラウンド」とかの作品を撮っている人らしいです。
こんなに熟成した雰囲気の俳優さん(初主演らしいです)、久々に見た。
私的に◎です。


捕らえられたグリゴリエフ大佐と反抗的だった息子の一瞬の面会が切なくて、一番印象に残りました。2人を分けるシャッターが下りてきてとっさにとったグリゴリエフ大佐の行動。
泣きそう。


誰のか覚えてないんですけれど、詩が効果的に使われていました。
狼=グリゴリエフ大佐・・?
いかつい彼が愛する息子の幼い頃のビデオを見る姿には泣けた。


危機一髪だったピエールと、悲しいグリゴリエフ大佐のラスト。
グリゴリエフ大佐が真っ白な光景の中で見せた表情がなんともいえません。

それにしても。
CIAのアメリカってヤツは・・。


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2010年10月28日

『冬の小鳥』




※ストーリーはココで(シネマトゥデイ)


父に捨てられたジニ(キム・セロン)の児童養護施設での生活を経て新しい人生を受け入れる迄のお話。監督の実体験に基づいているとの事。

なんといってもキム・セロンの存在感が素晴らしいです。
出だしで父親と自転車に乗るシーンで、うわー、かわいい、とくぎづけに。

よそ行きのお洋服を来てお出かけした先は養護施設。
院内をシスターに案内されてケーキをとりに戻った時には父親は既に門の外。


やり切れない怒り、寂しさ、悲しさ、をどうしようもできず周囲に馴染まず物に当たるジニ。
ジニが医師(?)に何故養護施設に来る事になったのか、と涙ながらに話すシーンが心に残りました。
この医師役の人は「神の天秤」でのウビンの父、検事役の人ですね。
特徴のある声で気づきました。
この役者さん、すごく存在感がある。「神の天秤」でも感じましたが、穏やかで思慮深い雰囲気。


最初子供達が花札をやってる事にびっくりしてたんですが、占いだったんですね。
ひたすら父親の帰りを待ち、どんなに誘われても私はここにいる、と言い続けていたジニ。
1人、また1人、そして一緒に養子に行こうと言っていた親友のスッキもついに養子に貰われていき、父親も引越しした、転居先は分からない、と院長に言われ絶望したジニが死んでしまった小鳥を埋めた時の様に自分を土に埋葬するシーンが痛々しい。

ジニの他にも印象的な役者が。


親友のスッキ。
まだ11歳(だったかな?)なのに、今迄の経験から条件のよい里親に養子にしてもらおうと必死でアピールするのですが、それも悲しい。
生き残る為、そしてどんな里親に貰われるかで今後の人生が決まる事を既に計算する処世術をあんな小さい子が無意識に学習しているなんて。


子供達の中では一番年上と思われる足の悪い子が、ずっと施設にいる事もできないと諭されて、いやいやながらも家政婦としてコキ使われるだろう里親に貰われていったりしている。
誰の養子になるのかで人生が決まる。


唯一の救いは院長、シスター達が優しい雰囲気であった事。


父親の迎えをひたすら待つ事を諦め、里親が決まり今度は自分が送り出される立場になったジニ。
たった9歳の子が1人で絶望から新しい世界を選んでいく過程が悲しいお話でした。


映像が冷たい季節の空気感のある雰囲気が出ていてとても洗練されています。

それにしても韓国ってドラマでもよく簡単に子供を捨てているなーと思っていましたが。
国際養子の世界一なんですね。
なんでこんな事になるんでしょう・・。ありえない・・。
posted by kk at 22:00| 兵庫 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年10月15日

『メッセージ そして、愛が残る』




※ストーリーはココで(シネマトゥデイ)

夏はあまり見たい!と思う映画がなかったんですが、久々にシネリーブルに行ったらもう近日上映でみたいものありすぎ!


この映画も昨日ぴあを見てて久々に見たい!!と思った映画。
さっと軽くストーリーを読んだだけだったのですが、こんなに重い映画だったとは・・。

フランスで大ベストセラーの小説を映画化したのだそう。


主人公のネイサン役のロマン・デュリス。
彼は一瞬『BOY A』の人かと思ったのですが。いえ、あのアゴの辺りとかが。
冷静に考えると髪の色から全然違うじゃん。
見覚えがあるーー?と思ったら『PARIS』の病に侵されたダンサー役の人でした。

濃いです、彼。
毛深いのもあるんですけれど。

間近で見ると男前は男前なんだけど、あの濃さに当たりそうな位濃い・・。


しょうもない事は置いといてですね。



コレ、正直心臓に悪いわー。
私だけ?衝撃の度に椅子から1センチ浮くイキオイでびっくりしてたの。
出だしからもう心臓に悪すぎ。


でもものすごい勢いで話に吸い込まれます。


死期が近い人が分かる不思議な力を持つ医師ケイ(ジョン・マルコヴィチ)。
死期の近い人のオーラって黒で覆われているって良く聞くじゃないですか。
でも、彼が見えるのはその人が白い光で包まれている光景。


ケイの眼光鋭いながらも、達観した人間が持つ感じの雰囲気が印象的。


生きていられる事がどれだけ素晴らしい事なのか、そして死を実感した時に健康で、愛する人達がいて、その一瞬一瞬の生活がどれ程価値のある物なのか、という事を改めて考えさせられます。





posted by kk at 19:53| 兵庫 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年08月17日

『キャタピラー』



ストーリーはココで(Yahoo映画)


珍しく見たいと思った日本映画。

戦争で残虐のかぎりをつくした帰還傷痍兵と彼に複雑な感情を持ちつつ献身的に尽くすその妻が終戦を迎えるまでのお話。

テーマは戦争の酷さではありますが、通り一遍的なメッセージではない印象。
登場人物は極端に少なく、狭い農村を舞台に久蔵(大西信満)とシゲ子(寺島しのぶ)の異様な、重い関係性が描写されています。

辛うじて帰還したものの、その姿は直視する事のできない異形の夫。
久蔵は性欲、食欲の生きる本能をむき出しにしたただの肉の塊になっている。
そのほとんど動物状態の夫に絶望感を持ちつつ、それでも献身的に世話をするシゲ子。

caterpillar1.jpg



軍神として立派な勲章を貰い、新聞で褒め称えられても救いようのない現実に直面してだんだんとやりきれない怒りをためてゆき、爆発させるシゲ子の複雑な内面を寺島しのぶさんが圧巻で演じており、くぎづけでした。

彼女は今の芸能界では貴重な、独特な雰囲気を持つ女優さんですね。
昭和の雰囲気があって、もんぺがしっくりきて。妖気もある。
「女優」という呼び方が落ち着く人。

戦時中に化粧をしている訳がない、との事ですっぴんで演じているそうですがとてもお肌が綺麗。


ストーリーの中で久蔵に子供が産めない事が理由で暴力を受けていたと説明が入るのですが、どういう経緯でこの2人は結婚したのかなー、と。
異形の夫を見た時にその驚きは単なる恐怖の為なのか、それとも愛情があって自分の好きな人がひどい姿で帰ってきた事によるショックなのか、どっちだろうと。

シゲ子の気持ちがくるくる変わるのですが、その表現がすごい。
動物の本能丸出しの久蔵に対する嫌悪、絶望、哀れみ、憎悪、過去の感情、愛情、立場が逆転した事による軽蔑・・・。

特に鬱憤が溜まって、久蔵を連れ出し、軍神として見世物にし、崇めれられる久蔵に尽くす妻という立場を演じる事で少しだけゆがんだ感情を発散させるシーンが印象的。

そして久蔵もシゲ子に犯される受身の立場になってから、自分が戦地でやった残虐な事をフラッシュバックする様になる。
ものすごく恐ろしいその光景から逃げ出そうとするけれど、四肢を無くした彼は逃げ場がない。
その時に初めて彼が受身の立場の人間の気持ちを理解するのですね。

この久蔵役の大西信満さんの目の感情表現が本当に鬼気せまる。
それにしても「お国の為」という言葉が戦時中は全ての狂気の理由、免罪符になるという事なんでしょうね・・。
勲章なんてただのバッジだし、世間にいくら賞賛された所でそれは建前。
本音はストーリーの出だしの義理の妹と義父の会話が全てですよね。
シゲ子の目の前にあるのはめちゃくちゃにされた人生だけ。


caterpillar2.jpg


その他、形ばかりのまぬけなやり訓練やバケツレースを真剣にする村民の女達、バンザイで兵士を送り出す村民と対象的に、国民総狂気の空気の中で日の丸の旗を適当に振ってみたりする唯一正気である知的障害がある男をクマさん(篠原勝之)が演じており印象的でした。
最初パチパチパンチの人かと思ってましたが・・(笑)

ラストでシゲ子と「戦争終わった!バンザーイ!」と国民が本当は思っているであろう事を言って喜ぶシーンも。


映像的には農村風景、昔の土間のある日本家屋がとても綺麗。

何より、一番心に迫ってきたのは元ちとせの歌う主題歌。
泣いたのはこの歌、メロディー、歌詞、魂からしぼる様な彼女の歌声でした。


他の寺島しのぶさんの作品を見てみたい、と思い帰り道さっそくツタヤに寄りました(笑)

posted by kk at 18:36| 兵庫 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年05月30日

『あの日、欲望の大地で』




ストーリーはココで(シネマトゥデイ)


見逃してたこの映画。レンタルしました。

ふーーーん、そういうらせん構造なストーリーできたか、という印象。
でもこういう関係ってありえないと言えなくはないよね。

情死した不倫の関係の2人の子供が出会って愛し合ってしまい、そして子供が生まれる。
若かった彼女は育てられない、と生後2日の子供と彼を残して消える。
過去に自分が犯してしまった2つの罪の為かなげやりな感じでゆきずりの関係を繰り返して生きているシルヴィア(シャーリーズ・セロン)。

シルヴィアの心の色の様に身に着けるのはグレーの洋服だけ。
グレー一色の地味〜な洋服なのだけれど、シャーリーズ・セロンの華やかな美貌でシックで洗練された雰囲気。

関係を持つ同僚役でSATCのエイダン役(「マイ・ビック・ファット・ウエディング」にも出てたなー)の俳優さんが。
この人、人柄はイイ印象なんですがイマイチそそられない・・。

シャーリーズ・セロンは私的には特に好みという事もキライという事もなく・・。
『モンスター』での壊れた女性役、そして13キロの増量した姿は圧巻でしたが、今回の役はとにかく暗い・・・。



そして不倫する熟年カップル。
ガンで胸を失くした女性(キム・ベイシンガー)。
どちらかというとシルヴィアより彼女の方に感情移入。
女のサガというか、ああいう殺伐とした田舎でそれなりに家庭がうまくはいっていても、埋められない飢餓感とか、夫から「ゴメン、ダメだ」と関係を拒否されたりする事でこのまま女性として終わっていく事に対するあがきとか絶望感がリアル。

不倫カップルとはいっても彼らは体の関係だけでなくって、ヘタすると少年少女より気持ちが純粋というか。
それだけに余計厄介なんですね。
関係がバレそうになっても、体だけの割り切った関係ではなく気持ちが完全にあるからハイ、サヨナラとはいかない事が不幸の始まり。

男性側の家庭は分からなかったけれど、やっぱり女性と同じ様に恋愛をして男としての自分をもう一度味わいたかったんではなかろうか。
ちょっとソープオペラっぽい雰囲気、ハーレクイン小説(読んだ事ないけど。イメージ的に笑)チックな関係ですな。


でもこの不倫母、すごく分かりやすい。
分かりやすすぎる、行動が。もう典型的メロドラマ系の行動なんですわ。
で、当然思春期でカンのいい娘は母の行動に気づく。

娘も軽く母に罰を与えるつもりでした事が考えの浅はかさゆえにはるかに自分の予想を超えた展開になるんですね。


私は何よりあの寂寥感溢れる、そこにいると人生を諦めたくなる様な雰囲気のあの風景が印象的でした。
ああいう土地には住めない・・・。
寂しくって見てるだけで泣きそうになりました。

posted by kk at 21:39| 兵庫 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年05月18日

『ハートロッカー』



ストーリーはココで(goo映画)


アカデミー賞を受賞したとの事。

印象としてはあくまでもアメリカ人サイドからの視線でしかないんだよね、結局、とあまり感情移入はできませんでした。

私の印象としては、アメリカが善であるという事が前提で創られているというか。

そこに至るまでの過程を全世界は知っている訳じゃないですか。
それなのに、自分達はこんな悲劇、過酷な状況を体験している、とアピールしている感じがするんですよね、私は。

ただ、いつも最前線で利用されるのはこの映画に出てくる様な兵隊達。
彼らの命をかけた任務遂行に当たってはほとんど理解を超えていますね。
爆弾処理班という任務の過酷さ、極限状態にある人間の描写というのは
素直にすごかったと思います。

一番違和感を覚えて、ゾクッとしたシーンが。

「人生に一度しかない戦場での体験だ。楽しめ。」

と上役である兵士が下級兵士(?)に言う言葉。
楽しめ、って狂気の沙汰だと。


DVD売りのベッカム少年とジェームスとの交流、その後のジェームスの常軌を脱した行動とかあまり深くなくて唐突な感じもするし。

ラスト近くの自爆装置をセットされたイラク人の男性が「家族が4人いる、助けてくれ」とジェームスに必死で訴えて、でも間に合わなくってジェームスが離れた後にあれだけ必死だった彼が達観した様に急に静かにコーランを唱えて自爆したシーンが印象的でした。

ラスト、ジェームスがまた別の任地に出かけて行くシーンでは日本人の私からすると理解しがたい。
ヒーロー的な雰囲気を醸し出している印象というか。
もちろん必要とされる大切な仕事ではあるけれど。
というかその仕事が必要とされるバックグラウンドに疑問があるというか。


他国の人がこの映画にどんな印象、感想を持つのか聞いてみたいです。

posted by kk at 20:52| 兵庫 ☁| Comment(2) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年05月07日

『プレシャス』




※ストーリーはココで(シネマトゥデイ)


原作はサファイアの「Push」。
どこかで聞いた覚えが?と思ったらたしか昔山田詠美さんがオススメ!との事で雑誌ダ・ヴィンチか何かで紹介していた本でした。

両親からの虐待を受けているプレシャス。
底辺の荒んだ生活をしている彼女は空想の世界でだけ夢を見る事ができる。
すごくシリアスな環境が描かれているのだけれど、彼女の空想の世界がポップな感じで演出されていて少しだけホッとするんですねー。

2度目の妊娠が学校に知れてしまい、退学となったプレシャスはフリースクールに入学して、彼女に対して親身になってくれる先生や個性的なクラスメート達と出会って将来に対して希望を見出してゆく。

父親からのレイプといった肉体的虐待もダメージだけれど、何より母親からの人格を全否定される言葉の暴力。
たった16歳の少女の未来への希望を打ちのめすひどさがつらすぎると感じました。

フリースクールに入学したばかりのプレシャスは母親から罵り言葉ばかり投げかけられていた為に自信を失っていたけれど、少しずつ勉強して知識を得てゆく事で自分に対して希望をもてる様に変わってゆく過程が感動的でした。

プレシャスはとても強い。
父親からの虐待の結果生まれたダウン症の上の子と新しく生まれた2人目の子も周囲の里子に出したら?という提案をはねのけて愛情を注いで自分で育てるときっぱりと決める。
自分が彼女の立場だったらそうできるか。
「これから高校に行って大学にも進んで」と将来に希望を持ってたくましく生きる覚悟を決めたプレシャスの強さ。


母親。
私はこの母親がとても興味深かったです。
生活保護を受けて楽に生きる事を選択した怠惰な女。
ラストで彼女がプレシャスに対する感情を吐露するシーンがあるのですが、彼女もプレシャスを生んだ時には人並みの母性はあったと分かるんですね。
自分の子を’宝物’の意味でプレシャスと名づけたと。
でもその直後にとんでもないパートナーがプレシャスを虐待した事で彼女はプレシャスを保護する母としての母性よりも女としての意識が勝ってしまった。
彼女のプレシャスに対する罵り言葉は女の嫉妬としか言えないですね。
プレシャスを自分のパートナーを奪った憎むべき女としかみておらず、叩きのめすひどい言葉をたった16歳の実の娘に吐く。

ダウン症の孫を世話しているおばあちゃんはやさしいけれど、怖くてプレシャスの母をいさめる事ができない。
このおばあちゃんがもう少し骨太な人だったらプレシャスはもう少しマシな環境だったのでは。

フリースクールの先生。
彼女自身もレズビアンというマイノリティ。
痛みが分かる人だから普通の先生と違って生徒に対して踏み込めるんじゃないかな。

ソーシャルワーカー役でマライア・キャリー、看護助手でレニー・クラヴィッツが出演してました。
特に彼らの演技に印象は残りませんでしたが、先生役のポーラ・パットンの美しさが印象的。↓

precious.jpg



長い旅も最初の一歩から、という言葉(だったと思う)、そしてその言葉通り少しずつ前進してゆくプレシャスを見て私も根性入れてがんばらねば!と思ったのでした。
posted by kk at 17:50| 兵庫 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年04月24日

『サブウェイ123激突』



※ストーリーはココで(シネマトゥデイ)

1974年の「サブウェイパニック」のリメイクとの事だそうですが、リメイク元の映画を見ていないので単純に私は面白かったです。
「サブウェイパニック」を観た人は辛口の感想らしいですが。

出だしのNYの街の風景から引き込まれましたね。

SATCはテーマ自体が違うのでNYのゴージャスな部分だけを見せていますが、こういうのを観ると私の印象ではやっぱり生きるのにタフさが必要な街って感じ。
銃と犯罪が身近にあるというか。

ライダー役のジョン・トラボルタ。
彼は私の中では空高く指さしたキメポーズの人(サタデーナイトフィーバー)位の認識しかなかったのであんまりじっくり見た事なかったんですが。もう登場した瞬間から悪のオーラ全開じゃありませんか。
話の後半で元証券マンと判明しますが、あの首のタトゥーはもちろん退職後に入れたんでしょうね?
交渉の途中にテンション切れ気味に激高する姿がコワかったよー。


冷静なガーバー役のデンゼル・ワシントン。
彼を見るのは「アメリカンギャングスター」以来です。
子供がいて、毎日職場に行って、という普通の男を演じる為にかなり増量したとの事。お腹と後姿のお尻周りがとっても貫禄ありましたわ。
「アメリカン〜」の時はマッチ棒みたいにスラーとしてましたけど、この増量したデンゼルはまさにNYの街のそのへんにいそう。
でもやっぱりキラキラのオメメとキレイな歯の男前ですね〜黒ハート

印象に残ったのが、出だし車両を乗っ取られて銃を犯人に突きつけられたり極限状態なのに人質を冷静に助け出す車掌(?)のレジーナ。
この気丈さはスゴイ。でもとってもリアルにNYにはいそう、こういう人。

交渉の最中でガーバーがワイロを受け取った事を告白するシーン。
これ交渉の為に嘘を言ったのかなーと思ってましたがどうやら本当?

後半現金を直接届ける事になったガーバーが妻に電話するシーン。
帰りに牛乳を買ってきて、と頼む奥さん。
必ず生きて帰ってきて、と言いたいんですよね。


印象としてこの犯人(ライダー)よくこんなにベラベラしゃべるなー、と思った。いくら頭がキレるとはいえしゃべればしゃべる程自分の素性のヒントを与えるんだからさ。
それと何故ガーバーにそこまで勝手に親近感を持って気に入ったのかいまいち良く分かりません。
頭の回転が良くって会話上手な所がツボなんでしょうか。
ラストも警察に殺されるよりは、ガーバーに撃たれて死にたいと。


なんだか吉田秋生さんの名作漫画「バナナ・フィッシュ」の地下鉄ガンファイトを思い出しました。
リバー・フェニックスが生きてたら絶対アッシュ役をやって欲しかったなー。
posted by kk at 17:16| 兵庫 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年04月09日

『カラヴァッジョ』




ストーリーはココで(シネマトゥデイ)


大満足でした。
正直気にはなるもののそれ程見たい!と切望していた訳ではなかったのですが。

久々にヨーロッパ物を見るとその映像美にうっとり。
テーマが「光と影」という事でしたが、まさにラストまで黄金色というか、蜂蜜色というか美しい光彩がベースにあって、闇の部分とのコントラストが素晴らしかった。

16世紀のイタリアの生活、服装、建築物の様子が興味深かったです。
当時の娼婦の服装って本当にあんなにあけっぴろげなんだろうか・・?
(トップスは着てるけれど、胸だけはだけてるって格好)
カラヴァッジョとラヌッチョがテニスで勝負だ!ってシーンで手をラケット代わりにして試合してたり。

一見それ程違和感を感じる生活ぶり、服装ではないのだけれど、あぁやっぱり16世紀なんだなーと感じたのが罪を犯したり、自分の信念を口にした事で残酷な方法で公開処刑されるシーン。

ギロチンでもなく、ナタの様な刃物で斬首されその首を集まった野次馬に高々と見せてみたり、火炙りにしてみたり。
私はどっちもイヤだけれど、死ぬなら火炙りは避けたい・・・。
だって一瞬で終わる苦しみじゃないじゃん。

結構痛いシーンもあり。
あぁ、この人達肉食人種だわーと思ったのが出だしで背中ざっくりいっちゃった男が麻酔ナシでざくざく縫われてんのに、ギャーとか吼えながらも会話をするシーン。


カラヴァッジョ。

芸術家って狂気を内包してる人が多いという印象がありますが、彼は狂気というより激情型で破滅に至った、というイメージが。
絵画に対するパッションを私生活でもダダ漏れする勢いで次々に自分を追い込んでいっちゃた人なんだなーーという感想を持ちました。
この性格の人が剣を持ち歩くと面倒な事になるのは必至ですねぇ。


caravaggio.jpg



カラヴァッジョ役のアレッシオ・ボーニ。
男前ではないですが、芸術家っていう線の細いイメージは微塵もなくガッチリ体格のいい肉食系。
鬼気迫る目ジカラが印象的でした。
いつも薄汚れてるのだけれど無造作に着たゆったりした白のトップスが色っぽかったな〜
私はやっぱりヒゲあり、無造作スタイルの男っぽい人が好みの様です。
ちなみにカラヴァッジョの仲間のオノリオ役の人も好みでした黒ハート

騎士団の服装って本当に魅力的。
顔はそれ程、って印象でも背が高くってあの服装だとちょっと萌え黒ハート
イタリア男ってああいう感じの服を着ると5割増位素敵に見える。
宝石みたいな色の瞳も印象的。


女性ではちらっとしか出てなかったけれどベアトリーチェ役の女優さん(名前不明)が綺麗だなーと釘付け。


caravaggio1.jpg



貴族の衣装。
派手派手しいゴテゴテゴージャスな感じではなく、デザインは凝ってるけれど全体的に渋い色味のドレスとアクセサリー。
娼婦でさえも知性的な美しさを漂わせていました。

そして圧巻の絵画。
モデルと絵画を見比べて「これじゃない。この肌の艶や美しさが表現できないんだ」てな意味の事を言っていたのが印象に残りました。
彼が光彩にこだわっている事が何度も映画の最中で表現されていました。

パトロンのデル・モンテ枢機卿の宮殿に初めて足を踏み入れたシーンで
一番日当たりのいい部屋だ、と言われた矢先から窓を調節して部屋に入る光の加減を調整して満足するシーン。

自分のボロ家に戻って屋根を剥がして光のコントラストを作るシーン。

そしてマルタでの地下牢のシーン。


波乱万丈というか自分で波乱を引き寄せてるって印象のカラヴァッジョでしたが、38歳という短い人生を自分の表現したい絵をおもいっきり描いて、短かかったものの愛する人と心を交わして、太く燃焼できた人生だったんでしょうか。
でもラストの印象だともっともっと表現したいという情熱を秘めながら無念で死んでいったんだろうなーー。

posted by kk at 21:58| 兵庫 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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